子供の矯正

子供の矯正(小児矯正)

子供の矯正治療は、「まだ顎の骨が成長している時期」に行う矯正治療です。子供の矯正治療と大人の矯正治療の最大の違いとして、「すでに顎の骨の成長が終わった大人」と違い、「子供の場合は顎の骨が成長段階にある」ため、歯が動きやすいだけでなく、顎の骨の成長する力をコントロールしながら矯正治療を行えるという点があげられます。もちろん、矯正治療は大人も問題なく行うことができるのですが、顎の骨が成長段階にある子供の時期に矯正治療を行う方が理想的な矯正治療が可能です。

一期治療と二期治療について

子供の矯正治療は「一期治療」と「二期治療」に分かれます。顎の骨の大きさを調整する「一期治療」、歯をキレイに並べる「二期治療」と2段階に分けて治療を進めていきます。

一期治療

「一期治療」は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に行う治療で、上下の歯のかみ合わせや、顎の形や大きさを整えて、永久歯がキレイに生え揃う為の下地を作るための治療です。一期治療をしっかり行うことで、二期治療の必要がなくなる場合もありますし、二期治療の時により仕上がりが良くなったり、治療期間の短縮につながったり、抜歯の必要がなくなったりといったメリットにつながる治療です。

現代の子供の歯や顎の発育について

現代では子供の栄養状態が良くなり、歯の大きさは大きくなってきましたが、軟食化の傾向が進み、噛む回数も減り、顎の発育は悪い傾向にあります。つまり歯が大きくなったのに、歯の並ぶスペースが足りない傾向があるといえます。そのため永久歯がガタガタに生えてしまうのです。例えるなら、狭いベンチに大人数が座ろうとするようなものです。このことからも、まずは顎の骨が成長する力を正しく導きながら、歯の並ぶスペースを作ってあげることが大切になります。

子供の歯並びの注意点と治療開始時期について

乳歯の時に、歯が隙間なくキレイに並んでいると良さそうに思えるのですが、実はそれは間違いです。大人の永久歯は乳歯よりも大きいため、乳歯の時は隙間が空いているほうが良いのです。乳歯が隙間なく生えている場合、大きな永久歯が生えてくると、全ての歯が生え揃う場所がなくなり、歯並びがガタガタになってしまいます。そのため、乳歯が隙間なく生え揃っている場合には早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
将来、大人の歯になった時にキレイで機能的な歯並びを作るためにも、まだ乳歯のあるうちに受診し、治療の開始時期について歯科医師に相談しておくと良いでしょう。

一期治療で使用する矯正装置の例

一期治療の場合、写真のような装置を使うことにより歯がきれいに並ぶスペースを確保します。(外側からも見えにくい矯正装置です)
歯がきれいに並ぶだけのスペースを確保した後、仕上げでは外側からのブラケット矯正装置を使用して完了させます。

※写真は「3Dリンガルアーチ」という矯正装置です。

上顎の成長が悪い場合には、上顎前突(出っ歯)や叢生のリスクだけではなく、顎顔面領域の正常な成長にも悪影響が出ることも考えられます。鼻腔の成長が悪くなり口呼吸になるなども考えられます。その場合には、床矯正装置やクワッドヘリックスなどの矯正装置を使用し、上顎の成長を正しく導くことでが大切になります。このような顎の骨や歯の並ぶスペースを拡大するための装置には様々なものがあるため、歯科医師が患者様毎に判断し、適切なものを選択する必要があります。


一期治療を受けるメリット(まとめ)
・治療方法がシンプル
・二期治療の必要がなくなる場合もある
・二期治療の仕上がりが良くなる
・二期治療の治療期間の短縮につながる
・矯正治療のための抜歯を回避できる確率が上がる

二期治療

「二期治療」はブラケットとワイヤーによる矯正装置を装着して歯を動かす治療です。永久歯が生え揃ってからの治療開始となります。

※一期治療を受けそびれてしまった方も受けることが出来ますのでご安心下さい。

保定について

矯正治療によって⻭を動かしてキレイに並べ、完了後は矯正装置を外します。矯正装置を外した後は、仕上げとして「保定」をします。歯を動かした直後は、まだ⾻にがっちりと植⽴しているわけではありません。歯が動いた場合、歯の周りの組織が新しい歯の位置に順応していくのにある程度の期間が必要になります。つまり何もしないでいると、⻭の位置が元にどんどん戻ってしまうことになります。この「後戻り」を防止するために「保定」が必要となります。保定には「リテーナー(保定装置)」を、使用します。

矯正治療を受けた方が良い歯列とは?

「不正咬合(ふせいこうごう)」は、かみ合わせや、顎の位置が正常な位置からずれている状態をいいます。不正咬合の種類は様々で、その原因もまた様々です。ここでは、不正咬合の例の一部を、ご紹介させて頂きます。

叢生(そうせい)

叢生(そうせい)は、ガタガタに生えた「乱ぐい歯」、犬歯が飛び出した「八重歯」のことをいいます。叢生の原因としては、顎に対して歯が大きかったり、顎が小さすぎて歯が全てキレイに並ばないこと(歯の並ぶ部分のアーチが足りない)、奥歯の位置が前にずれてしまっていることなどによります。日本人にはこの叢生が多い傾向があります。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、上の歯が出っ張っている状態のことで、いわゆる「出っ歯」のことです。

上顎前突が進むと顔を横から見た時にもわかるようになります。

反対咬合(はんたいこうごう)

反対咬合(はんたいこうごう)は、一般に「受け口」といわれ、上下のかみ合わせが逆になっている状態です。

反対咬合が進むと顔を横から見た時にもわかるようになります。

開咬(かいこう)

開咬(かいこう)は、奥歯では咬んでいても、前歯では咬めておらず、上手く咬めない状態のことです。

開咬が進むと口が閉じにくくなることもあります。

空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列(くうげきしれつ)は、歯と歯の間に隙間ができている状態で、いわゆる「すきっ歯」のことです。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合(かがいこうごう)は、上下の前歯の重なり具合が通常よりも深すぎる状態のことです。

不正咬合の影響について

不正咬合を放置すると、歯並びのことだけではなく、顎が前後や横にずれてしまい、顔のバランスが悪くなったり、食べ物が噛めない、食べ物が飲み込めない、発音しにくい、鼻で呼吸がしずらい、姿勢が悪くなるなどの異常が現れることもあります。矯正治療では、顎の発育に問題のある部分を正常に戻したり、機能訓練を行ったり、歯並びや顔のバランスを良くしたり、口呼吸、姿勢などの機能改善も目標とします。

子供の矯正のメリットとデメリットについて

メリット

1.歯並びの改善
2.咬み合わせの改善
3.側貌の改善(Eライン)
4.咀嚼率の改善
5.口呼吸の改善
6.発音の改善
7.清掃性の向上によるむし歯や歯周病リスクの低減

デメリット

1.歯列矯正治療は健康保険適用外であるため、自由診療となり、それ相応の費用負担が発生します。
2.矯正装置を装着しなければならないため(ワイヤー矯正の場合は)見た目が気になる場合があります。
3.矯正装置を装着している間、清掃性が低下し、むし歯や歯周病のリスクがアップする場合があります。
4.歯が動きはじめることによる痛みや違和感を感じる場合があります。(はじめの3~4日程度)
5.治療期間が元々、1~2年といった長期間となることと、ケースによっては予定よりも長期化する場合があります。

矯正料金表

矯正治療は保険適用外の自由診療ですが、費用の総額は、使用装置、治療の難易度・治療期間によって変わります。歯の表側からの全体の矯正の場合、子供さんで片顎40〜50万円、両顎60〜80万円です。部分矯正の場合は20〜40万円です。また、観察料が毎月3千円となります。

内容
金額(税込)
備考
表側矯正(子供・片顎)
44~55万円
表側矯正(子供・両顎)
66~88万円
表側矯正(大人・片顎)
44~55万円
表側矯正(大人・両顎)
77~88万円
部分矯正
22~44万円
観察料
3,300円 / 月

※費用は全て税抜き表記です。
※矯正治療の場合は、金利なしの10回までの分割払いが可能です。